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本「わたしはサムじゃない」突然愛する妻が精神年齢5歳の女の子になったら… [本]

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「わたしはサムじゃない」著者 J・ケッチャム&L・マッキー

★★★☆☆(個人評価 ★多めならおすすめ)

家でコミックを書く夫パトリック、そして検死解剖医の妻サムは結婚して8年経った今も熱々だった。
ところがある日の真夜中、サムが幼児退行を起こしてしまう。
調べても身体的には何の問題もないことがわかり、幼児化したサムを扱い兼ねるパトリック。
精神は子供でも身体は愛する妻のまま。
そしてパトリックは…。

共著だからか、いつもの残虐非道なケッチャムを期待して読むとまったく違うことに驚くと思う。
どちらかと言うと心理サスペンスと言ったところ。

愛してやまない妻が幼児退行してしまったら…。
夫パトリックは献身的に妻の相手をするのだが。。。

どうして幼児化してしまったのか、その理由は語られない。
ただただ夫パトリックの戸惑い、葛藤が語られる。
姿は妻のままなのに、子供と化した言動を夫は受け入れられるのか。

ケッチャムだけに、なにか起こるのか起こるのかという期待と不安の中読み進んでしまう。

これは2連作となっており、まず最初に夫側の視点から語られる「わたしはサムじゃない」。
そして次に「リリーってだれ?」という妻側からの視点からも語られる。

リリーとは、妻が幼児退行を起こした時に名乗っていた名前。
妻に対し、パトリックがついサムと呼びかけてしまうのだが、その都度「わたしはサムじゃない。リリーだ」と激怒する。
リリーという少女が一体どこからきたのか、それもこの小説の中では語られない。

もし、「わたしはサムじゃない」だけであったら、あまりにも読者に対し中途半端すぎるが、ちゃんと続きがあるのは良かった。
えええ~どうなるの?と気持ち悪すぎるもんな。
でも「リリーってだれ?」で、妻側の気持ち等が語られるため、中途半端感は少し軽減される。
少しだけ。

だって、なんで幼児退行を起こしたのか、これからどうなるのか?がぶったぎられて終わるから。
おそらく…こうなるのではないか…くらいは想像できるけど、これ、誰かが悪いわけちゃうのに、という理不尽さを覚えてしまう。
読後感が良くないのは、ケッチャム特有だけど、この気持ち悪さはちょっと今までの小説とは違う。
深く愛し合ってた夫婦なのに、妻の幼児退行を機にどうなってしまうのか…という話。

夫が悪いのか?そうは思わないし、当然妻だって悪くはない。
なのに、夫婦のボタンが掛けちがえられてしまう。
いやでも、結局は夫があほなのか?
あーーなんか気持ち悪い、すっきりしない!と思ってしまう。
さすがケッチャムやなぁと変なとこで納得。

2連作で読むと、男と女の違いっていうか、これはキツイよなぁとか、いろいろ考えてしまう。
気持ち悪さは変わらないけど。
なんだろな、どろっと緑色によどんだ沼に手をつけてしまった感じ。
うわ、汚い…と思いつつ、手のニオイをつい嗅いでしまう…みたいな。
洗えば落ちるけど、漬けた時の感触やニオイ、嫌悪感はいつまでもつきまとう…みたいな。

ケッチャムは基本、人間の奥底に潜む狂気を表に出して、これでもかこれでもかと血塗れ内臓共々読者に開いてみせる作風。
ほら、これほど人間って汚く脆く愚かなんだぜ、みんなそうなんだぜ、と訴えかける。
見たくないのに横目で見てしまうホラー映画やグロ画像のように、好奇心過剰な人々を魅了する。
そして読み終えたあと、ああ、わたしはこれほどまでには汚くないし、残虐じゃないし、内臓ぶちまけて死ぬわけじゃないし、と第三者的な感覚でほっとするのだ。

ところがこの小説に関しては、もっと内面的な嫌さ、が語られている。
きっと誰しもが足を踏み入れてもおかしくない側。
絶対的な誰が見ても悪だと言い切れないあくどさ。
人によっては共感すらしちゃうくらいの悪徳。
そこらへんが微妙な気持ち悪さを生むんだろうなぁ。
どっちかと言うと男側が共感し、女側が嫌悪感を抱く、でも大声あげて糾弾できない悪。
あ、でも悪は悪?いや、それすら曖昧な感じ。

気持ち悪さは残るし、読んだあとの感想は各々違ってくるんだろうな。

んで、もう一つ、「イカレ頭のシャーリー」という短編が収録。
こっちはもう完全なるケッチャム節。
まぁ緩いほうかな…とも思うけどね。
普通の人間とどう違うのか?と思うほど、淡々と行われる殺人。
ええ?なんで?この人おかしい!と糾弾できる人がうらやましい。
なんつうか、シャーリーは決してイカレ頭ではないと私には思えるところが怖いんだよな。
理解できる、もちろん、行動するかどうかで言えば私には決してできないんだけど、理解できる衝動。

ケッチャムは人喰いを始め残虐で非道な小説を書くんだけど、微妙にズレが生じればこうなるかも…と思えるとこが怖さを生む。
ただ、それをあまり表だって言いたくないのが普通。
殺人衝動を理解できると公言すれば、それは殺人者予備軍として扱われてしまうから。
理解できると行動できるは別物なんだけどね。
自分にはできないけど、どっかでズレてしまえばこうなる可能性もあるのかもしれない…程度ね。

ケッチャムを期待し読むと裏切られるけど、読後感の余韻の悪さはケッチャムらしい小説でした。
誰にでもおすすめできる小説ではないけど、人間の怖さ脆さを読みたい方にはいけるかも…。
でもやっぱりおすすめはしないかな。
ケッチャム好きなら読んで欲しいけど。

ルナ129.jpg

グロは無理

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mitsuya

スプラッターやグロ系のホラーが苦手なのであまりよく知らないんですけど、たしかとなりの家の少女の原作の人ですよね。原作読んでキモって思った反面、頭いいかもって感じた記憶があります(゜゜)
by mitsuya (2015-06-05 07:42) 

youyou_s

>mitsuyaさん そうそう、それを書いた人です!代表作ですね。読後感最悪の小説としても有名です(笑)。まぁケッチャムは大体読後感最悪ですけども。
よくもこれだけ人間をぐちゃぐちゃにできるなぁ…とある意味感心するほどの鬼畜っぷりです。
だからこの「わたしはサムじゃない」は結構緩い方ですね。あまりグロはないから。
by youyou_s (2015-06-05 22:29) 

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